当院の診療の基本 ― pd(ピー・ディー)とは


当院の診療台は、一般的な椅子型ではなく、フラットなベッドの形をしています。
精密な治療を行う外科手術を思い浮かべてみてください。
手術台はフラットで、患部は明るい照明に照らされ、術者は安定した姿勢を保ち、手術を行います。
歯科診療も、同じようにこの形が必要です。
なぜなら、歯科診療に求められるのは、0.2〜0.3mmという非常に精密な単位での処置。
しかも、口の中は「暗く」「狭く」「見えにくい」空間です。
直視だけに頼ることは難しく、ミラーを駆使しながら同時に治療を行う必要があります。
このような繊細な環境で、正確な治療を支えるのが、pd(ピー・ディー)という考え方です。
pdとは、身体の感覚(固有感覚)をもとに、自然で無理のない姿勢や動きを導く論理で、
アメリカの歯科医師 Dr. Daryl Raymond Beach によって提唱され、
この形の診療台が開発されました。
当院の診療の根幹を支える、大切な考え方です。
※pdは「proprioceptive derivation(プロプリオセプティブ・デリベーション)」の略です。
「固有感覚」って、何でしょうか?
pdの核となるのは「固有感覚」という身体感覚です。
これは、自分の体が「今どんな姿勢でいるか」を、感じ取る感覚のこと。
たとえば、今あなたが立っているのか座っているのかを、意識しなくても自然とわかっているのは、この固有感覚のおかげです。
この感覚は、筋肉や関節、腱などにあるセンサーが教えてくれるものですが、五感と違って、普段はあまり意識することがありません。
精密な作業に欠かせない感覚


固有感覚は、私たちが体を動かすときにも常に働いています。
たとえば、書道のような繊細な作業を思い浮かべてみてください。
背筋がまっすぐ伸びて、手元はリラックスしている状態。
こうした「無理のない姿勢」が保たれていることで、手先の細かい動きもスムーズにできるのです。
逆に、姿勢が崩れていたり緊張していると、細かな動きは思いどおりにできません。
pd論理に基づく診療のメリット
この考え方を取り入れることで、治療には以下のような効果が生まれます。
①術者が無理なく、安定した姿勢で治療できる
②道具や診療環境が、術者の動きに合うよう整えられる
③術者の姿勢に加え、患者さんとの位置関係や器具の配置が最適化される
④治療がより「正確に・効率よく・快適に」進み、結果として高い治療効果が得られる
当院の取り組み

当院は開院以来、このpd論理に基づいて、
院内の設計から治療方法までを構築してきました。
「きちんと治療を行えば、繰り返し治療を受ける必要がなくなる」
この当然のことを、丁寧に積み重ねていくことが、
患者さんにとっての本当のメリットだと考えています。
参考リンク
当院のpd診療に関連する団体や企業の公式サイトをご紹介します。pdに関心のある方はぜひご覧ください。




